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クドリャフカの順番
ヒ**ー
面白い
TVアニメ『氷菓』を見て、原作小説の<「古典部」シリーズ>を読みました。クドリャクカの順番では神山高校文化祭で起こる十文字事件の謎を解いてゆきますが、謎解きそのものだけでなく、麻耶花が属する漫研での河内先輩とのやり取りや、千反田が自分以外の他人に頼る方法を入須先輩から伝授されて奮闘するも、無理な精神状態から疲れてしまう話など、読み応えのある人間模様がいっぱい詰まっています。個人的にはカンヤ祭前夜に千反田が神社にお参りしてみんなの無事を祈り、話の一番最後で折木奉太郎がこうやって運がよかったのは誰かがお祈りでもしてくれたお蔭かな、と感謝するあたりのくだりが特に好きですね。十文字の犯人は意外な人物で、冒頭から少しずつ伏線が張られているのですが、いわゆる通常ミステリーのように読者が謎解きをするのは不可能でしょう。しかし、ばらばらに描かれてきた様々なエピソードが曼荼羅のように縁があって絡み合い、登場人物本人ですら気がついていないような原作著者の意思が伝わってきて面白いです。漫研2年生の河内亜也子は本作品では”嫌な奴”、悪役(ヒール)的な描かれ方をされているのですが、漫研部長の言葉では彼女は優しい子とされていて、たぶん本作品を読んだだけではまだその心の中はわかりきらないでしょう。このレビューを書いている2017年1月初めのわずか1か月余り前に古典部シリーズ最新作、いまさら翼といわれてもが単行本で出版されたのですが、その中に収められている短編”わたしたちの伝説の一冊”でさらにこの話の続きがどうなるのか明かされています。僕はアニメを最初に見たときから河内亜也子の言動や表情の裏にはもっとなにかあるのではないか、その心の中が気になります、という状態でしたから続編を読んだときも感動しました。本作品、クドリャクカの順番では「河内先輩は最後まで表情を見せずに後姿のまま去っていった」との記述で終わりますが、、
麻**誠
クドリャフカの順番の書評
「クドリャフカの順番」楽しく読みました。氷菓シリーズ(古典部シリーズ?)も3冊目でいよいよ面白くなってきました。私が通った高校は受験校でしたので、あのような「文化祭」の光景は新鮮です。それにしても、岐阜県生まれ岐阜県育ちの米澤穂信先生の作品で「安心院(あじむ)タクハ」の名前が出たのは意外でした(安心院町は大分県にある地名、なかなか正しく読んでもらえない)。私は現在大分県に住んでいますが、母の郷里が福岡県で近くに大刀洗町があります。米澤先生の作品で「大刀洗万智」シリーズがあるのに気づきこれもびっくり。他にも「犬はどこだ」に出てきた「高場町」、これも大刀洗町の近く。米澤穂信先生と九州東北部の地名頻出の謎?「私、気になります」。
A**R
“安楽椅子探偵” + “青春群像劇”
「古典部シリーズ」第三作である本書の舞台は、主人公たちのかよう高校の学園祭。謎の連続盗難事件を縦糸に、古典部内のトラブルを横糸にして、古典部メンバーたちの奔走が描かれます。語りの形式としては、これまでの折木奉太郎の一人称という単一視点ではなく、奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花の四人の視点が交代しながら進みます。本シリーズではこれまで主人公である奉太郎の視点でしか描かれてこなかったので、残り三人はあくまで彼の視点からのみ提示されてきました。しかし本書では、ほかの三人の視点を読むことができ、彼ら全員の感情の機微を追うことができるため、まさしく “青春群像劇” といった印象でした。とくに主人公の友人であり良き理解者である里志の描写からは、同性の友人に対する屈折した心情がよく伝わりました。千反田も意外に奉太郎のことをよく観ていることがわかります。反対に、三者三様の視点から観た奉太郎のイメージも語られるので、彼のイメージもより立体的に理解できました。視点交代を取り入れたメリットはそれだけではありません。奉太郎をほとんど一箇所に固定したまま、残りのメンバーを縦横無尽に動き回らせることで、物語をふくらませることに成功しています。本シリーズの設定上もともと奉太郎は “安楽椅子探偵” の役割ですが、本書ではシリーズ中で彼が物理的にもっとも動きません。そのため、現場に足を運ばず、千反田、里志、摩耶花の三人が目にし耳にした出来事を聞き、間接的に得た情報をパズルのように組み立てていく、彼の思考過程がダイレクトに提示されるので、シリーズのなかで一番 “安楽椅子探偵” という設定を活かしていたと思います。本作では第一作『氷菓』、第二作『愚者のエンドロール』と同じく、ホウタローの姉が “全知” の上位存在として裏で物語を動かします。ほかのレビュアーも指摘しているとおり、その程度が前二作よりもかなりおおきく、そこは賛否が分かれそうなところでした。
お**こ
エピソードが一つ足りない。
この作者の文章は抑制が効いた筆致で地の文が効果的に背景を描き出していて没入しやすい。ただ、今回はそれぞれのキャラクターのモノローグから始まり、それぞれの視点でストーリーが語られる。視点の変化が伴うので結構、むつかしい手法だが、群像劇としての本質を反映している。楽しい文化祭だが、古典部は大きな問題を抱えていた。それは解決できそうもない。四人四様で悩んでいる。トリック自体は古典的だが、見せ方が面白い。犯人はABC殺人事件を本歌どりして、10のサークルからその名前と同じ音のつくものを失敬していく。その犯人はだれか。謎解きの合間に展開するキャラクターそれぞれのエピソード。それらが一点に集約された先に、折木奉太郎が見出したのは何か。そして古典部の大問題はどう解決するのか。ただ、厳密には推理小説のルールから逸脱したプロットなのでここら辺は少し気になる。重要な解決のカギはある人物がもたらすのだが、なぜその人物はそれを持ち歩いていたのか。去年、カンヤ祭を訪れ、それを手に入れて、そして今年はそれをバックに入れて再び訪問する。ちょっと、話が出来すぎているんじゃなかろうか。何か一つ足りないような気がする。それを語るエピソードがほしいところだ。
リ**4
たった一つ?の矛盾。
古典部シリーズの二つ目の山。文化祭と氷菓が、ある出来事に巻き込まれ?ていく。我らが、ホータローは、安楽椅子探偵然と文化祭は進む、ある事件と共に。何時もの様に、青春の煌めきとほろ苦さの残る後味、でも、今回は矛盾点がーー{ここからネタバレ注意}山の残りは、配っても良かったのでは?ホータロー以外の部員が、自分の実力を突きつけられるシーンがほろ苦いーー今後のシリーズの布石?になる物語、是非楽しんで見てください。
Trustpilot
1 week ago
3 days ago